まとめると
・治療は症状固定の段階で打ち切られるのが原則
・症状固定時にも残ってしまっている症状については、後遺障害として認められることがある
・後遺障害として認められれば、後遺障害慰謝料や逸失利益が請求可能になる。これらは金額が大きくなることなることが多いので重要
・自賠責の後遺障害等級認定は、交渉段階はもちろん、裁判になった場合でも重要
・自賠責の後遺障害等級認定サポートは弁護士の役割ではないと見る向きもあるが、アウル東京法律事務所では、この点も弁護士がサポートしていくのが重要と考えています
治療は症状固定までが原則(完治しなくても打ち切られることがある)
交通事故によるケガは様々なものがあります。
もちろん、完治するケガも多くあるでしょうから、医師の指示に従ってきちんと治療を続けるべきです。
しかしながら、現代医療は完ぺきではありません。
中には、事故前と同じ状態には戻せないようなケガもあります。
このような場合には、いつまでも治療が続けられるわけではありません。
症状固定といって、これ以上治療を続けても改善が見込めなくなった段階で治療は打ち切られてしまうのが原則となります。
症状固定後の症状については、後遺障害として扱われる可能性がある
このように、治療が打ち切られた後も症状が遺っている場合には、後遺障害として認められる可能性があります。
交通事故の損害賠償については、後遺障害の等級認定は、以下のような理由から非常に重要です。
後遺障害が認められると、慰謝料や逸失利益が請求可能になる
後遺障害が認められると、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能になります(もっとも、逸失利益については、外貌醜状の場合等、その存否が争われることもあります)。
後遺障害として認められるか否かは、損害賠償金額を大きく左右しますので、非常に重要です。
たとえば、他覚所見のないむち打ちのケースを例にとってみましょう。
入院なし、通院6か月のケースであれば、交通事故による入通院慰謝料は89万円になります(赤い本別表Ⅱ採用)。
むち打ちで14級が認定された場合の後遺障害慰謝料は110万円、逸失利益は、仮に年収300万円、労働能力喪失期間5年と仮定すると、64万9425円となります。
つまりは、後遺障害として認められるだけで174万9425円もプラスになる余地があります。
入通院慰謝料のみの場合と比べると、およそ3倍になります。
アウル東京法律事務所では、後遺障害の等級認定に力をいれており、本ブログ等でも後遺障害について、いくつも記事をあげているのは、このような理由があるためです。
自賠責保険・共済の等級認定をもとにして、損害賠償(示談)の話がされるのが一般的
後遺障害慰謝料や逸失利益を請求するにあたって、自賠責保険・共済の段階で、後遺障害の等級認定がされることは非常に重要です。
裁判所は、自賠責保険・共済の後遺障害等級認定に拘束されず、独自に判断できます。
しかし、自賠責保険・共済の等級認定を重視する傾向にありますし、仮に、等級認定の結果がまだない状態なら、まずは、申請をするよう促されるのが一般的でしょう。
また、交渉をする際も、自賠責保険・共済が後遺障害を認めていないのに、「こうこうこういった後遺障害があるから~」と後遺障害があることを前提に話をしても、相手損保からは大方、「自賠責が認めてないのに、そんなの認めませんよ」などとすげなくあしらわれるだけでしょう。
あくまでも、自賠責保険・共済が認定した後遺障害等級をもとに、示談の話がされるのが一般的であり、自賠責保険・共済の等級認定があるのが交渉の大前提になります。
後遺障害の等級認定は弁護士の役割か
このように、後遺障害の等級認定は非常に重要ですし、アウル東京法律事務所の交通事故無料法律相談でも、この点の相談をよくお受けします。
しかしながら、このような後遺障害の等級認定やそのサポートは、弁護士の役割ではないとする見方もあります。
たしかに、問題になるのは法律論ではなく、どういった後遺障害があるかという証明の問題であり、必要なのはむしろ医学知識になるでしょうから、弁護士が有する法的な専門性とはまた別の知識・経験が必要になるでしょう。
そのため、自賠責の等級認定についてはタッチしないというスタンスはそれ自体あり得ることです。
しかしながら、後遺障害の等級認定は、損害賠償の金額に大きく影響するところです。また、自賠責のシステム上(書面審査が原則)、後遺傷害の立証が不十分で、本来等級認定されるべき後遺障害が認定されないということも、ままあることからすると、アウル東京法律事務所では、この点も弁護士が最大限サポートしていくべきだと考えています。