まとめると
・過失割合は、保険会社や調査会社が一方的に決定できるものではない
・双方当事者の合意にによって決めるもの
・合意に至らないような場合には、最終的には、裁判で決める
・裁判以外に、中立の第三者に判断を求める手段もあるので注意
交通事故の過失相殺
交通事故の被害者が損害賠償請求をする際、しばしば過失相殺が問題になることがあります。
過失相殺とは、基本的には加害者のほうに責任があるとしても、被害者に何らかの落ち度がある場合、その落ち度の分、損害賠償の金額を減額される、というものです。
たとえば、過失割合が20(被害者):80(加害者)で、過失相殺前の損害賠償金(慰謝料だけでなく、治療費等も含め)が100万円だとします。
この場合には、損害賠償金が20%減額されて、被害者は80万円しか受け取れない、ということとなります。
交通事故の過失割合は、損害賠償金額全体にからんできますので、大きな争点となることもあります。
過失割合は誰が決めるの?
では、この重要な過失割合は、いったい、誰が決めるのでしょうか。
加害者の保険会社が決める?
ときおり、「過失割合は保険会社が決めるものだ」と言われた、というご相談をお受けすることがあります。
これはもちろん、間違いです。
保険会社が過失割合を一方的に定める権限なんてありません。
ただ、保険会社は、何らかの根拠(たとえば判例タイムズ)をもって主張していることが多いので、言い分をまったく無視するのは危険です。
調査会社が決める?
過失割合が問題になる事例だと、相手損保が調査会社をいれることがあります。
調査会社と言われると、中立の第三者というイメージから、調査会社が決めるのか、と勘違いされる方もいらっしゃいます。
でも、これも間違いです。
調査会社が過失割合を法的に決定する権限はありません。
弁護士が決める?
相手方の保険会社が、交通事故の交渉を弁護士に依頼することがありますが、もちろん、弁護士も過失割合を一方的に決定する権限はありません。
保険会社(加害者)から依頼を受けた弁護士は、あくまで加害者の利益のために行動するのが一般的です。
中立の第三者なんかでもありません。
合意に至らなければ、最終的には裁判所が決める
過失割合は、基本的に、当事者双方の合意によって決まります。
相手が過失割合を提示してきても、その割合で合意しなければ、過失は決まりません。
ただ、過失割合でもめた際に、そのすべてが合意に至るとは限りません。
双方の主張が対立したまま、平行線をたどることがあります。
このように、双方が合意に至らなければ、最終的には、裁判所が判断をすることとなります(訴訟となった場合が前提ですが)。
裁判以外の解決手段にも注意
裁判というと、さすがにそこまでは......と思う方も多くいらっしゃるでしょう。
ただ、過失割合について、裁判のほかに、中立の第三者が判断してくれる場合もあります。
たとえば、交通事故紛争処理センターの和解あっせん、裁定等、裁判以外の方法でも、中立の第三者に判断を求める手段はありますので、注意が必要です。