まとめると
・弁護士費用特約が利用できないケースでは、弁護士費用が自己負担となる
・弁護士費用を差し引いても、弁護士に依頼するメリットがあるかは、ケースバイケース
・相手損保から提示された示談書案(損害賠償金の提示)を持って、弁護士に相談にいけば、メリットがあるかどうかを判断しやすい
・ただし、治療中の行動が損害賠償金額に影響する可能性もあるので、弁護士への相談はお早目に
弁護士費用特約が利用できない場合には、弁護士費用が自己負担になる
交通事故の被害者にとって、弁護士費用特約は心強い味方になりえます。
弁護士費用特約さえ利用できれば、弁護士費用の全部または一部を保険会社が支払ってくれるため、費用をそれほど心配することなく、弁護士に依頼できます。
しかも、弁護士費用特約は、一般的にノーカウント事故として扱われるため、利用しても翌年以降の保険料が上がることはないでしょう。
しかしながら、交通事故は予期もしない状況で起こるものです。
弁護士費用特約に加入していなかったという方もしばしばいらっしゃいます。
そのような場合には、当然ながら、弁護士費用が自己負担となります。
(なお、訴訟をした場合には、加害者に対して弁護士費用の請求もできますが、これは実際にかかった弁護士費用の金額ではなく、損害額の10%程度とされることが一般的です)
弁護士費用を差し引いてもメリットがあるかはケースバイケース
かかった弁護士費用を差し引いても、メリットがあるか否かは、残念ながらケースバイケースとしかいえません。
こういった場合には絶対にメリットがあって、こういった場合には絶対にメリットがないということはいえません。
たとえば、私の経験上、たとえ14級でも、後遺障害の等級認定さえ獲得できれば、弁護士費用を差し引いてもメリットがあることが多いです(当事務所の報酬基準をもとにした場合)が、14級が認定されたケースでも、メリットがないケース(保険会社が高めの示談金を提示したような場合)もあれば、14級が認定されないケースでも、メリットがあるケースもあります。
保険会社から提示された示談案をもって、弁護士に相談するのも手
このように、メリットがあるかどうかがあいまいな理由の一つとして、弁護士が介入しない場合に、保険会社が示談金をいくらと提示してくるかわからない、という点が挙げられます。
つまりは、相手損保が、高めの示談金を提示してくれれば、弁護士に依頼するメリットはないか、少なくなるでしょうし、反対に、低めの示談金を提示されたケースであれば、弁護士に依頼するメリットが高くなる傾向にあるといえるでしょう。
そのため、相手損保から提示された損害賠償金に関する提案書をもって、弁護士のところに相談しに行って、メリットがありそうであれば依頼するというのも手でしょう。
ただし、弁護士への相談はお早目にされることをおすすめします
ただ、この方法にはデメリットもあります。
すなわち、保険会社が示談提示をしてくるのは、治療や後遺障害の等級認定が終わった段階であるのが一般的です。
しかしながら、治療中の行動が、損害賠償金額や後遺障害の等級認定に影響を与える可能性があります。そうすると、弁護士から、「もっと早く相談に来てくれていれば、適切な損害賠償金額を獲得できるようにアドバイスできたのに」と言われることもあるでしょう。
(※たとえば、傷害慰謝料は入通院期間や実通院日数に応じて増減されますし、医師の指示がないのに、整骨院や接骨院に通院するのはリスクとなる可能性があります。)
アウル東京法律事務所では、交通事故被害者のために、無料での法律相談をもうけておりますが、これは、弁護士への相談は、できるだけ早いほうが良いという判断からです。
弁護士に相談したら、絶対に依頼しないといけない、というわけではありません。
依頼するかどうかわからない段階でも、早目にご相談されることをおすすめします。