まとめると
・昔は統一的な支払基準があったが、今はない
・任意保険基準はあくまでも保険会社が独自に設定している基準であり、被害者はこれに縛られない
・任意保険基準の慰謝料等はかなり低い金額であることが多い
(つまり、赤い本基準等で請求することにより増額の可能性あり)
任意保険基準とは
昔は、日本損害保険協会というところが統一的な支払基準を設けていました。
しかしながら、この支払基準は、独禁法上の問題もあり、今では廃止されています。
それでは、任意保険基準というものはなくなったのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
今でも、多くの保険会社は、これが任意保険基準です、と言って慰謝料等の示談金を提示してきます。
ここでいう任意保険基準というのは、単なる社内基準に過ぎません。
任意保険基準に、交通事故の被害者は縛られない
ただの社内基準に過ぎない任意保険基準に、交通事故の被害者が縛られることはありません。
『任意保険基準』という文字を見てしまうと、「基準通りに払われるのであれば仕方ない」という気分になってしまうかもしれませんが、要注意です。
交通事故の被害者は、加害者(またはその保険会社)に対して慰謝料等を支払うよう請求できます(損害賠償請求)が、任意保険基準で請求しないといけないなんて決まりはありません。
任意保険基準は、低いことが多い(増額の余地あり)
示談交渉の際に、保険会社が提示する慰謝料の額は、通常、「赤い本」や「青い本」の基準をかなり下回るのが実情(北河隆之『交通事故損害賠償法』弘文堂・平成23年4月15日・205頁)です。
弁護士が交渉する際には、一般的に、赤い本基準等の裁判基準で交渉しますので、任意保険基準よりも増額されることが多いです(参考:赤い本基準の傷害慰謝料)。
もっとも、全てのケースにおいて、弁護士が介入することにより増額されるというものではありませんので、気になった方は、弁護士に相談してみてください。
なお、アウル東京法律事務所では、交通事故の被害に関するご相談は無料で行っておりますので、お気軽にご相談ください。