まとめると
・労災保険の受給権にも時効(時間制限)があるので注意
・治療費等は、2年と比較的短い消滅時効が定められているので、時効にかからせないよう注意が必要
・自分に過失がある場合や、加害者が無保険のケースでは、労災保険の利用に大きなメリットが見込める
・自信の交通事故で、労災を利用すべきか迷ったら、弁護士等の専門家に相談してはいかが
労災の受給権にも時効がある
勤務中や通勤中に交通事故にあった場合には、一般的に、労災を利用して治療を受けることができます。
交通事故で労災を利用するメリットとしては、治療費の自己負担がない、特別支給金の存在等があげられ、とくに、加害者が無保険の場合や自身に過失がある交通事故では、非常に心強い存在になります。
ただ、労災保険給付の受給権には、時間制限があることに注意が必要です。
すなわち、労災の受給権には、比較的短期の消滅時効が定められているので注意が必要です。
労災保険給付の受給権の消滅時効
消滅時効は、以下のとおりとなります。
受給権の種類 | 時効期間 | 時効の起算日 |
療養給付(治療費等) | 2年 | 療養に要する費用が具体的に確定した日の翌日。 つまり、治療費等を支出した都度時効が進行 |
休業給付 | 2年 | 労働により賃金を受けられない日ごとにその翌日 |
障害給付 | 5年 | 傷病が治った日の翌日。 治ったというのは、完治ではなく症状固定のことです |
介護給付 | 2年 | 支給事由が生じた月の翌月の初日 |
遺族給付 | 5年 | 労働者が死亡した日の翌日 |
葬祭料・葬祭給付 | 2年 | 労働者が死亡した日の翌日 |
労災保険を利用すべきか否か、迷ったら弁護士等に相談してはいかが
交通事故で、労災を利用することはメリットがあるケースが多いです。
しかも、自分に過失がある場合や加害者が任意保険に加入していない場合など、自身が不利な立場に立たされているケースほどメリットが大きいものと言えます。
ただ、労災保険を利用できる場合には、絶対に労災保険を利用しなくてはいけない、というわけではありません(ちなみに、労災隠しはいけません)。
労災保険を利用して治療を受ける場合には、保険診療の制約が出てきます。
自由診療で、制限のない治療を受けたい、という方もいらっしゃるでしょう。
迷われたら、弁護士等の専門家に一度相談してみてはいかがでしょうか。