平成28年版の赤い本では赤い本の入通院慰謝料の基準(別表2)が改定されましたが、死亡事故の慰謝料基準も改定されました。
今回はこの死亡慰謝料基準の改定のポイントについてふれていきます。
従来の死亡慰謝料基準
入通院慰謝料基準の改定では、慰謝料の金額そのものは変更されず、主に慰謝料の算定方法(通院期間を原則とする)が改定されましたが、死亡慰謝料基準では金額そのものが改定されたので、従来の基準と比較していきましょう。
従来の死亡慰謝料基準は以下の通りです。
・一家の支柱:2800万円
・母親、配偶者:2400万円
・その他:2000万円~2200万円
改定された死亡慰謝料基準
この死亡慰謝料基準は以下のようになりました。
・一家の支柱:2800万円
・母親、配偶者:2500万円
・その他:2000万円~2500万円
具体的には、一家の支柱が死亡した場合の慰謝料の金額はそのまま、母親もしくは配偶者が死亡した場合の慰謝料と、その他の者(たとえば子どもやお年寄り)が死亡した場合の慰謝料基準とが増額されました。
ちなみに、改定された慰謝料基準もあくまで一応の目安であり、具体的な事情により増減されますので注意が必要です(たとえば一家の支柱が死亡した場合の慰謝料基準は2800万円ですが、裁判例の水準はおおむね2800万円~3000万円の間にあると言われていますし、実際の裁判例では死亡慰謝料の金額はかなり広汎に分布しています)。
改定の経緯
改定されたのは近年の死亡慰謝料の金額に関する裁判例を調査した結果、実際の死亡慰謝料の金額が従来の基準より高額なケースが多かったためです。
とくにその他の死亡慰謝料のうち、若年者層が死亡した場合は2200万円を上回るケースがかなり多かったといえます。
このような調査結果をもとに東京地裁民事27部(交通部)とも意見交換をし、今回の改訂に至ったとのことです。