損害保険ジャパン日本興亜株式会社が、平成27年8月31日に、「弁護のちから」という弁護士費用補償保険を発売することを発表しました。
販売開始は、平成27年12月1日からを予定しているようです。
「弁護のちから」は、傷害保険等の特約として販売されるので、この保険にのみ加入することはできないようです。
単体での弁護士費用保険としては、プリベント少額短期保険株式会社が販売している「mikata」があげられますが、こちらは保険料が月々2980円(税込)とされているの対して、「弁護のちから」は、販売パターン例では、月の保険料が約1000円とされていますね。
もちろん、ただ安いというだけではなくて、保険内容が大きく違うので注意が必要です。
損保ジャパン日本興亜の「弁護のちから」は、すべての事件を対象としているわけではなく、補償対象となる事件を、「被害事故」、「借地・借家」、「遺産分割調停」、「離婚調停」、「人格権侵害」、「労働」(労働はオプション)に限定しています。
日常生活で問題になりやすい分野があげられていますが、分野を限定することによって、保険料を安く抑えている印象です(もちろん、自己負担金額や限度額という点も月々の保険料を抑える要因となっているでしょう)。
ちなみに、現在も、交通事故などに限定して弁護士費用を補償する、弁護士費用特約等の保険が販売されていますが、「弁護のちから」は、これよりも対象分野を広げているので、交通事故以外でも、弁護士に相談・依頼したいという被保険者向けの、中間的な立ち位置になりそうです。
ただ、プレスリリース程度しか情報がないので何とも言えませんが、離婚や遺産分割については、『調停』に限定している点が気になります。
離婚が訴訟に移行したり、遺産分割調停が審判に移行した場合には、補償されないという意味でしょうか。
また、離婚調停の中には、婚姻費用分担調停が含まれるのかも気になります(別居しており、婚姻費用を払ってもらえていないケースでは、婚姻費用分担調停と離婚調停は、同時に申し立てることがあります。その場合、離婚調停と婚姻費用分担調停とは、同日中に行われることがあり、明確にわけられないこともあります)。
たしかに、離婚や遺産分割は、訴訟・審判に移行しないで解決できることが多いのですが、訴訟・審判に移行しても問題ないという場合と、訴訟・審判に移行してもらっては困るという場合とでは、調停に臨む態度に違いが生じうるので、気になりますね。
このほか、離婚に関係して言及すると、DVの保護命令申立てなどにも対応しているか気になるところです。
いずれにせよ、詳細は保険商品が販売される際に明らかになるでしょうから、気になる方は、担当者からじっくりと説明をしてもらって購入するか決めたほうが良いでしょうね。この記事でふれているような点もカバーされているかもしれません。
このブログでも、後日、現時点でわかっている情報をもとに、簡単に比較検討してみたいと思います。
追記。すみません、業務多忙のためできないまま発売日を迎えてしまいました。
アウル東京法律事務所では、弁護士費用保険に対応しています
アウル東京法律事務所では、現在も、弁護士費用特約等の保険を利用してのご依頼に対応しております。
もちろん、この「弁護のちから」にも対応する予定でおりますので、保険加入者の方も、保険に加入していない方も、どうぞお気軽にご相談ください。