先日、毎日新聞で以下の記事が取り上げられました。
交通事故被害の事案では、逸失利益など将来もらえるはずのお金を請求することがあります。
10年後、20年後という将来もらえるはずだったお金をもらう場合、加害者のほうは、このような主張をするはずです。
「現在の100万円と10年後に支払う100万円は同じ価値ではない。
100万円を10年間貯金する等して運用すれば、10年後には、100万円以上になっているはずだ。
10年後の100万円を今支払うのなら、その分ディスカウントをするべきだ」
このような主張は、中間利息の控除と言います。
たとえば、10年後の100万円は現在の価値に直すと、61万3900円程度となります。
これは、61万3900円を年利5%で運用していけば、10年後には約100万円になっているからです。
中間利息5%の疑問
5%という中間利息は民法の法定利率を参考に決められています。
ただ、この5%で運用できれば、という過程ですが、超低金利時代の昨今、あまりにも非現実的ではないかという批判がありました。
(もっとも、その批判に対しては、金利というのうは一定ではなく、時代によって増減するものだから、長い目で見れば合理的だという反論もされていました)
実際、現在の金融市場で、年間5%もの利益を出そうとすると、ハイリスクな投資をしなければいけないでしょう。
つまりは、年間5%もの利益を出すという裁判所の前提は非現実的すぎる、実際には、被害者がかなり損を強いられていたのではないかというものです。
これらの批判を受けて、中間利息を3%に引き下げた上で、3年に1度、金利の見直しをするという法改正が検討されているようです。
中間利息が5%から3%に引き下げられれば、被害者が獲得できる金額も大きく変わってきます。
これは、非常に重要な法改正ですので、今後も注目していきたいところです。
保険料への影響
影響の一つとして、記事でも触れられているように、保険会社が支払う賠償金の増額が予測されます。
これに伴い、自動車保険料の値上がりも予測されます。