ブログ

  1. 交通事故の弁護士相談「アウル東京法律事務所」
  2. ブログ
  3. 交通事故判例
  4. 【逸失利益】むち打ち・腰部捻挫で14級が認定されたが、労働能力喪失率を9%、労働能力算定期間につき、10年とした判例(福岡地判平成26年2月13日)

アウル東京法律事務所に所属する弁護士等のブログです。交通事故に関することや事務所全般のお知らせ等があります。

2014.09.17交通事故判例【逸失利益】むち打ち・腰部捻挫で14級が認定されたが、労働能力喪失率を9%、労働能力算定期間につき、10年とした判例(福岡地判平成26年2月13日)


【事例の紹介】


本件では、被害者の方は、追突事故(平成20年10月4日発生)のため、頚椎捻挫(むち打ち)・腰椎捻挫等の被害を受けました。

被害者の方は、平成22年7月16日まで治療を受け、その後、後遺障害の等級申請を行いましたが、結果は、14級でした。

訴訟では、12級に相当することを主張したものの、裁判所も14級が相当と認定しました。

しかしながら、逸失利益につき、以下のように判示した点が注目に値します。


前提知識

むち打ち損傷のため、14級が認定された場合、逸失利益の労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間につき、5年程度とされる例が多いです。

たとえば、本件では、被害者の方の基礎収入を348万9000円と認定していますが、348万9000円が基礎収入であれば、逸失利益は以下の通りになります。


3,489,000×0.05×4.3295=75万5281円


tochou2.jpg


判決


労働能力喪失率を9%、労働能力喪失期間につき、10年としました

すると、逸失利益は242万4691円となります。

5年の場合の比べて、166万9410円の増額となります。

労働能力喪失率や労働能力喪失期間を増加させた理由として、以下のようなものがあげられています。


・交通事故の衝撃の大きさ(自動車は全損となっている)
・事故のあと、しばらくの間、首から肩にかけて強い痛みがあり、立っていることも困難な状態だったこと
・その後も頭痛、吐き気を伴う痛みが持続していること


裁判所は、以上のような事情から、通常のむち打ちの場合に比して、一定の調整をするのが相当としました。


病院への通いすぎには注意

本件では、相手方は、平成21年12月29日までの治療費については認めていますが、その後の治療費については争っています。

裁判所も、この点は、相手方の主張を容れ、治療費は平成21年12月29日までの分しか認めていません。

むち打ちの場合には、通院をいつまでにするかは悩みどころですが、症状固定の時期は、最終的には裁判所が判断します。

病院にあまりに長期間通院しすぎると、治療費の自己負担が生じることがあるので、注意が必要です。


トップへ戻る