事例
判例(名古屋高判平成25年9月25日・自保ジャーナル1907号160頁)の紹介です。
被害者の方の通院状況は、以下のとおりです。
(1)平成23年6月25日追突事故のため、受傷し、病院に行く。
(2)平成23年7月1日、別の病院に通院。
(3)平成23年6月29日から7月22日まで接骨院に通院(実通院日数19日)
被害者の方は、治療費や慰謝料等の支払いを求めて提訴しましたが、被告(加害者側)は、接骨院での治療の必要性はないとして争いました。
前提知識
交通事故の被害者の方で、接骨院に通院されている方はよく見られます。
しかしながら、裁判所は、接骨院での施術費を当然に認めてはいません。
接骨院や整骨院のような東洋医学による治療(施術)は、症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合には認められる傾向にありますが、当然に認められるものではありません。
裁判所の判断
裁判所は、接骨院での施術費5万6200円の全額を損害として認めませんでした。
理由は、大要、以下のとおりです。
(1)接骨院への通院に医師の指示がなかったこと
(2)事故による衝撃は小さかったこと
(3)CTやレントゲンによる異常は見つからなかったことなどです。
交通事故の被害者の中には、接骨院へ非常に多く通院される方もおられますが、接骨院への通院はノーリスクではないので、注意が必要でしょう。