【ご質問】
交通事故の被害者が、国民健康保険を使って保険診療を受けるには、どのような手続をとれば良いのでしょうか。
【ご回答】
国民健康保険証を発行している市区町村や国民健康保険組合の窓口で、第三者行為による傷病届などを出しましょう。
国民健康保険を利用するために必要な手続は、各市区町村によって違いがありますので、統一的に、「この書類があれば大丈夫です」とは申し上げることはできません。
基本的には、自分の国民健康保険証を見て、保険証の発行主体となっているところに行って、必要な手続をすることになります。
手続といっても、難しいものではありません。
たとえば、葛飾区では、手続きに必要な書類をホームページ上で公開していますので、参考にされてはいかがでしょうか。
公開されている書類のうち、
(1)第三者行為による傷病届
(2)念書
(3)同意書
(4)見取り図(他地域では、事故発生状況報告書という名称の場合も)
(5)誓約書
(6)自賠および任意保険加入状況
については、他地域でも要求されることの多い書類ですが、書面をきちんと見れば書いていけるものでしょう(誓約書は、加害者もしくは加害者の保険会社に書いてもらう必要がありますが)。
このほか、交通事故証明書(人身事故証明書)が必要になりますが、これは、自動車安全運転センターで手続をして取り寄せる必要がありますので、注意が必要です。
このように、交通事故で国保を使うための手続きは難しいものではありませんが、多少、手間がかかるものです。
ただ、過失相殺が発生する事案や加害者に資力がないような事案では、国保を利用して治療を受けることは大きなメリットになる可能性があります。
手間を惜しむのではなく、健康保険を利用するメリットと健康保険を利用して治療を受けるデメリットとを比較した上で、適切な選択をすべきです。
国民健康保険を使う場合の若干の注意点
国民健康保険は、いつでも使えるというものではありませんので、注意が必要です。
たとえば、業務上の事故などで労災保険を利用できる場合は、国保は利用できません。
このような場合に、保険診療を受けるには、労災を利用しなくてはならないからです。