【ご質問】
自賠責保険の限度額について教えてください
【ご回答】
(1)傷害部分
120万円
※傷害部分には、治療費等の治療関係費、文書料、休業損害、傷害慰謝料が含まれます。
これらは、治療関係費で120万円、慰謝料で120万円という具合に個別に計算するものではありません。
すべてあわせて、合計120万円まで保険金が支払われるということです。
たとえば、治療費100万円、傷害慰謝料80万円の場合、治療費で100万円の枠を使ってしまうこととなるので、慰謝料は計算上80万円でも、実際には、20万円しかもらえません。
(2)後遺障害
認定された後遺障害等級に応じて、以下のように定められています。
別表第1(介護を要する後遺障害が認定された場合)
別表第2
※後遺障害部分については、後遺症による逸失利益と後遺症慰謝料が含まれています。
(3)死亡による損害
被害者1名につき3000万円
※死亡による損害については、葬儀費用、死亡による逸失利益、死亡慰謝料が含まれています。
減額要素に注意
以上のように、自賠責保険の限度額について解説しましたが、被害者に重大な過失があった場合には保険金額が減額されます。
また、交通事故による受傷と、死亡または後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合も同様に減額されますので注意してください。
加害者が複数の場合には、限度額が実質的に増える
交通事故の加害者が2人など、複数いる場合には、実は、交通事故の被害者は、どの加害者の自賠責保険に請求しても構いません。
また、自賠責保険の上記のような限度額は、加害者ごとに設定されています。
つまり、実質的には、加害者が2人なら限度額が2倍、加害者が3人なら限度額が3倍といった具合に、加害者の人数に応じて、自賠責の限度額が増えると考えてよいでしょう。
もっとも、慰謝料や休業損害そのものが2倍、3倍になるわけではありません。
あくまでも、自賠責の枠が増えるというだけですので、注意してください。
(たとえば、傷害部分について、計100万円の損害がある場合には、加害者が2人だからといって、損害賠償の金額が倍増するわけではありません。単に、通常だったら120万円の限度でしか保険金が降りないものが240万円の限度で支払われるというだけです)