【ご質問】
交通事故によるケガと、後遺症・死亡との間の因果関係が不明な場合、1円ももらえないのですか?
【ご回答】
そうとは限りません。
減額はされるものの、自賠責から保険金がもらえる可能性があります。
因果関係がある損害のみが賠償の対象になるのが原則
交通事故の被害者が、加害者に対して損害賠償請求をする場合、交通事故と損害との間に因果関係があることが必要です。
つまり、交通事故によって、このような損害が発生した、と立証していかなくてはいけないわけです(厳密には、相当因果関係の立証が必要ですが)。
交通事故によって、たとえば指が切断されたとなると、それが交通事故が原因で生じたものかどうかは、一般的に明らかでしょう。
しかしながら、交通事故による損害は、このような比較的わかりやすいものだけではありません。
たとえば、死亡事故でも、事故前から病気にかかっており、交通事故が原因で死亡したのか、それとも病気が原因で死亡したのか明らかではないという場合もあります。
このような場合、交通事故の被害者(もしくは遺族)は、交通事故による受傷と後遺障害・死亡との間に因果関係があることを立証していかなくてはいけません。
立証できず、因果関係が認められなければ、交通事故の被害者は、1円も受け取ることができないのが原則です。
自賠責保険による救済
しかしながら、自賠責保険は、交通事故で被害にあった人を救済するための保険ですので、この点は、緩やかになっています。
被害者等が既往症等を有していたため、死因又は後遺障害発生原因が明らかでない場合等受傷と志望との間及び受傷と後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害および後遺障害による損害について、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から5割の減額を行うとされています。
つまり、因果関係の有無の判断が困難な場合でも、自賠責保険では、通常の半分の保険金を受け取ることができるのです。
このように、因果関係の有無が不明だからと言って(仮に、医師に因果関係があるかどうかは不明と言われたとしても)、最初から諦める必要はありません。
自賠責保険から、通常の半分の保険金額を受け取ることも考えられますし、また、きちんと因果関係を立証できる可能性もあるので、まずは弁護士に相談をされると良いでしょう。