【ご質問】
自賠責基準の治療関係費について教えてください。
【ご回答】
自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(平成13年・金融庁・国土交通省告示第1号)によれば、以下のとおりとなります。
治療費等について
治療費等については、簡単に説明すると、必要かつ妥当な実費全額が対象となります。
詳しくは、以下のとおりです。
なお、後述のとおり、自賠責には支払限度額があるので、ここに記載したものが何の問題もなく、支払われるわけではありません。
場合によっては、健康保険等を利用して治療費を安く抑えることも考慮する必要があります(労災利用できる場合は、労災保険を利用)。
(1)応急手当費
応急手当に直接かかる必要かつ妥当な実費
(2)診察料
初診料、再診料または往診料にかかる必要かつ妥当な実費
(3)入院料
入院料は、原則としてその地域における普通病室への入院に必要かつ妥当な実費。ただし、被害者の傷病の態様等から医師が必要と認めた場合は、上記以外の病室への入院に櫃王かつ妥当な実費
(4)投薬料、手術料、処置料等
治療のために必要かつ妥当な実費
(5)義肢等の費用
ア 傷害を被った結果、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補てつ、義眼、眼鏡(コンタクトレンズを含む)、補聴器、松葉杖等の用具の製作等に必要かつ妥当な実費
イ アに掲げる用具を使用していた者が、傷害に伴い当該用具の修繕または再調達を必要とするに至った場合は、必要かつ妥当な実費
ウ ア及びイの場合の眼鏡(コンタクトレンズを含む)の費用については、5万円を限度とする
※葬具や器具の購入費に関する裁判基準についても、あわせてご覧ください。
(6)診断書等の費用
診断書、診療報酬明細書等の発行に必要かつ妥当な実費
(7)柔道整復等の費用
免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費
(自賠責基準ではこの通りですが、裁判基準では、柔道整復等の費用は、当然に認められるものではないので注意が必要です)
通院交通費について
通院、転院、入院または退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費が支払対象になります。
事故現場から医療機関まで、被害者を搬送するための費用等についても、必要かつ妥当な実費が支払対象となります。
※タクシーを使って通院する場合、タクシー代が通院交通費として認められないこともあるので注意が必要です(裁判では)。
看護料について
ア 入院中の看護料
原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に、1日あたり4100円とされます。
イ 自宅看護料または通院看護料
医師が看護の必要性を認めた場合に次のとおり支払対象となります。ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には、医師の証明は要しないものとされます。
(ア)厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者
立証資料等により必要かつ妥当な実費
(イ)近親者等
1日2050円
ウ 近親者等に休業損害が発生し、立証資料等により、アまたはイ(イ)の額を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費
※赤い本基準の入院付添費(近親者)は1日6500円程度、通院付添費は1日3300円程度となります。
諸雑費について
療養に直接必要のある諸物品の購入費または使用料、医師の指示により摂取した栄養物の購入費、通信費等とし、次のとおりとなる。
ア 入院中の諸雑費
入院1日1100円。立証資料等により1日につき1100円を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費
イ 通院または自宅療養中の諸雑費
必要かつ妥当な実費
自賠責保険には限度額があるので注意
自賠責基準の治療関係費は以上のとおりですが、自賠責には慰謝料や休業損害をあわせて、120万円までという支払限度額があるので、注意が必要です。
ここで掲載した治療費等も、計120万円を超えたら、自賠責からは支払われないので、加害者が任意保険に加入していない場合等にはとくに注意が必要です。