【ご質問】
外貌醜状のため、後遺障害の等級認定がされた場合、慰謝料はいくらが妥当ですか?
【ご回答】
まずは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料をわけて考えましょう。
入通院慰謝料は、別表Ⅰを参考に、後遺障害慰謝料は、通常より増額される可能性があります。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)について
後遺症が残った場合の、交通事故による慰謝料は、大きく分けて
に分けられ、それぞれ別に請求できます(どっちもとれます)。
まず、入通院慰謝料のほうですが、こちらは、入院した期間や通院した期間に応じて、決めるのが一般的です。
金額を算定するにあたっては、赤い本の別表Ⅰという基準を用いるのが一般的です。
たとえば、入院1か月・通院5か月と仮定すると、入通院慰謝料は、141万円が妥当な金額といえるでしょう。
症状固定するまでのご自身の入通院の状況に照らして、表をご覧になってみてください。
後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)について
後遺症慰謝料は、認定された後遺障害等級に応じて算出されるのが一般的です。
赤い本基準の後遺症慰謝料は、こちらの表2になります。
外貌醜状の場合、認定されうる後遺障害等級は、7級、9級、12級のいずれかになります。
赤い本基準で計算すると、後遺症慰謝料はそれぞれ、
7級(著しい醜状):1000万円
9級(相当程度の醜状):690万円
12級(単なる醜状):290万円
となります。
外貌醜状の後遺症慰謝料は、通常よりも増額される可能性がある
もっとも、外貌醜状の事案で、この慰謝料を簡単に受け入れてしまうのは危険です。
というのも、外貌醜状の事例では、後遺症慰謝料は、通常よりも増額される傾向にあるためです。
外貌醜状の事例では、労働能力自体には影響がないとして、逸失利益が否定されることもあります。
もっとも、正面から逸失利益を肯定できずとも、外貌醜状があることにより、まわりの目が気になって、前とは同じように働けなくなり、結果として、昇進や昇給に影響を及ぼすことはあるのではないかと考えられます。
そこで、このような事例では、正面から逸失利益を認めないかわりに、後遺症慰謝料を増額して、実質的に調整をはかっているのではないかと考えられます。
外貌醜状では、後遺症慰謝料は、具体的にいくら増額されるのか
実際、いくらくらい増額されるかというと、ケースバイケースと言わざるを得ません。
過去の判例からすると、1.5倍~2倍程度といったところでしょうか。
ただ、単純に1.5倍~2倍増額するというより、100万円~200万円程度を上乗せしているように思われます。
(以前は、外貌醜状について、14級もあった時代がありましたが、14級の場合には、2倍程度(110万円→200万円程度)になることも、ままあったようですが、7級が認定された場合に、後遺症慰謝料が1000万円の倍の2000万円になるかというと、それほどの増額はみられないように思われます)