薬物療法について
交通事故のため、むち打ちになられた方は、慰謝料等の話の前に、まずは治療を開始していくことになるでしょう。
交通事故直後(急性期)のむち打ちの治療法は以前解説しました。
今回は、薬物療法についてスポットをあてて、簡単に解説していきます。
なお、実際の治療方針については、医師と相談の上、選択されてください。
消炎鎮痛剤と筋弛緩剤
「単純なな頸部の捻挫であるならば、急性期は、明確な疼痛があると時は消炎鎮痛剤(NSAIDs)を使用し、頸部可動域制限がある時には筋弛緩剤が併用して用いられることが多い」(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』113頁)とされています。
このほか、めまいがする場合には、抗不安薬や抗めまい薬を処方されることもあるでしょうし、脳血流の循環不全が疑われる場合には、脳代謝改善薬等を処方されることもあるでしょう。
消炎鎮痛剤
むち打ちの症状として、最も多いのが首の痛み(頚部痛)で、慢性化したむち打ち損傷患者の97%に頸部痛があるとする報告もあります。
このような痛みを和らげるため、痛みどめとして、消炎鎮痛剤が処方される例が多いのではないでしょうか。
具体的には、カフェインやアセトアミノフェンなどがあります。
筋弛緩剤
先述のように、首を動かせる範囲が狭まっているような場合には、筋弛緩剤を処方されることもあるでしょう。
筋弛緩剤としては、エペリゾン、チザニジン、アクロルファン、バクロフェン、ダントロレンなどがありますが、中枢性筋弛緩薬と末梢性筋弛緩薬に大別されます。
それぞれの薬に応じて、薬理効果は違います(多シナプス反射を抑制するか、単シナプス反射を抑制するか、あるいは双方を抑制するか等)が、どのような薬を処方するかは、医師が症状に応じて選択するでしょうから、患者としては、一般的に、具体的な薬剤名まで覚える必要はないでしょう。