【ご質問】
運動誘発電位(MEP)は後遺障害の等級認定にあたって有用ですか
【ご回答】
体性感覚誘発電位(SEP)と同様、異常所見が確認されれば、むち打ち等の後遺障害認定にあたって、有用な資料となり得ると考えられます。
ただし、運動誘発電位(MEP)は、どの部分の障害であるか、特定することが困難なので、他の立証資料等と組み合わせる必要性が高いと考えられます。
運動誘発電位(MEP)とは
運動誘発電位(MEP)とは、頭部を磁気で刺激して、腕のなど筋肉の電位を記録する検査方法です。
伝導速度や振幅に左右で差があるような場合には、運動神経路に何らかの伝導障害が生じていると考えられます(異常所見)。
運動誘発電位(MEP)の限界
運動誘発電位は、上述のように、頭部を磁気で刺激して、筋肉などの電位を記録します。
このように、頭部からの刺激は、脊髄等を通って、該当部位までたどり着きますが、異常所見があったとしても、それが神経根が原因なのか、中枢神経系が原因なのか、といった、どこの部分が原因なのか、診断することは困難です。
そのため、運動誘発電位の異常所見のみでは、末梢神経障害が残存しているとの、医学的な証明までは困難ではないかと考えられます。
もっとも、SEPと同様、ほかの検査結果と合わさることで、効果を発揮することはあるのではないかと考えられます。
MRI撮影をしたところ、頚椎の椎間板ヘルニアが確認でき、他に、神経症状に関する原因が考えられないような場合には、運動誘発電位の異常所見を提出することで、神経の異常が発生していることやそれが頚椎椎間板ヘルニアが原因ではないかとの推測ができるのではないでしょうか。
このように、単体での証明力には限界があるのではないかと考えられますが、他の検査結果の裏付け等として用いることで有用性を発揮することができることがあると考えられます。