むち打ちの治療(物理療法)
交通事故でむち打ちとなった方は、急性期は痛みどめをもらって安静にしていることが多いのではないでしょうか。
急性期を過ぎると、理学療法(いわゆるリハビリ)を行って、改善をはかっていくパターンが多いものと考えられます。
ここで、むち打ちの治療として行われる物理療法について、いくつか紹介していきますが、自身の判断では行わず、医師と相談して行うようにされてください。
理学療法の目的と効果
むち打ちとなった方のうち、治療として、後述するように、首をひっぱられたり、電気をあてられたり、といった治療を受ける方がいらっしゃいます。
このような治療は何を目的として、行われるのでしょうか。
「理学療法の主な目標は、軟部組織の治癒を促進し炎症をとることである」(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』121頁)とされています。
ただ、上記文献によれば、「しかし、むち打ち損傷における研究は少なくはっきりとした効果は証明されていない。そのため、治療がその患者にとって効果がない、あるいは患者が満足していない場合には、速やかに他の治療法に切り替える必要がある」とされています。
むち打ちの治療としては、『これ』というものがないからこそ、医師と相談の上、適切な治療を見極めていく必要があるでしょう。
頚椎牽引
器具を用いて、首を引っ張る治療法です。
事故直後に行うと、かえって痛みが増すことがありますので、注意が必要です。
牽引の効果は、3つあるとされています(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』122頁参照)。
(1)頚椎の固定
(2)椎間板内圧や椎間関節にかかっている圧の減少
(3)頚椎のストレッチ
温熱療法
簡単に説明すると、患部を温める治療法です。
ホットパック、パラフィンパック、マイクロウェーブを用いた加熱などがあります。
温熱療法による効果としては、血流の促進、鎮痛作用、筋肉のスパズムの軽減などがあげられています。
電気療法
電気で神経を刺激し、痛みに対する感受性を変化させる治療法です。
これにより、鎮痛効果が期待できます。