【ご質問】
体性感覚誘発電位(SEP)は後遺障害の等級認定にあたって有用ですか
【ご回答】
SEPを実施した結果、異常所見があれば、むち打ち等の等級認定(神経症状の立証)にあたって、有用な資料として、利用できると考えられます。
ただし、SEPは、広い範囲で発生している電位を記録しているので、補助的な資料にとどまるのではないかと考えられます。
体性感覚誘発電位(SEP)とは
体性感覚誘発電位とは、頸部や頭部に記録電極を置いた上で、末梢神経に電気刺激を加え、記録電極にて、波形や伝導速度を記録するものです。
異常所見としては、普通なら記録される誘発電位が消失したり、伝導時間が長くなったり、頂点潜時に異常な左右差があったり、振幅の低下などがあげられます。
体性感覚誘発電位(SEP)の限界
SEPは、広い範囲で発生している電位を記録しているので、詳細を診断するには限界がある、といわれています(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』103頁参照)。
そのため、むち打ちや頚椎捻挫での後遺障害の等級認定を申請する際、SEPの異常所見だけを提出しても、どれだけの効果があるのかについては、疑問があります(とくに、「頑固な神経症状」(12級13号)が残存していると認定されるための壁を越えるのは、困難ではないかと考えられます)。
しかしながら、SEPでも異常所見があり、MRIでも頚椎椎間板ヘルニアが観察された、などの異常所見があれば、神経症状が残存していることの裏付けとして用いることができるのではないか、と考えられます。
また、14級9号が認定されるためには、医学的な説明が可能であることが必要と考えられますが、他に有意な検査結果がない場合や、有意な検査結果はあってもそれだけでは等級認定されない場合などには、SEPの異常所見を提出することで、自覚症状の裏付け(後押し)として用いることも考えられるのではないしょうか。