【ご質問】
胸郭出口症候群とは何ですか?
【ご回答】
頚椎から腕には、腕神経叢という神経が通っています。
また、鎖骨の下には、鎖骨下動脈と鎖骨下静脈という血管が通っています。
交通事故のため、これらの神経や血管が、鎖骨や頚肋、第一肋骨、前斜角筋、中斜角筋などに圧迫されたり、牽引(引っ張られる)される状態になることがあります。
このような神経や血管の圧迫症状を胸郭出口症候群(TOS)といいます。
胸郭出口症候群の症状
胸郭出口症候群では、腕に向かっている神経や血管が圧迫されたりしますので、腕から手にかけてしびれが生じたり、首や肩がこったりします。
胸郭出口症候群で、後遺障害の等級認定を受けるには
そもそも、治療中に、胸郭出口症候群であることが見逃される可能性が存在することに注意が必要です。
治療中に胸郭出口症候群が見逃され、担当医に、「治療中には、胸郭出口症候群の疑いはなかった」などと書かれてしまっては、後遺障害認定が非常に難しくなると言わざるを得ませんので、自分の身体のためにも、早期の発見が重要です。
胸郭出口症候群の早期発見のために
むち打ちとなった患者について、神経根症を疑って検査したものの、とくに異常所見は見つからなかったが、その症状が実は胸郭出口症候群によるものだと判明することがあります。
胸郭出口症候群が疑われる場合には、検査を受けることが肝要です。
まずは、腕神経叢部でのチネル徴候が陽性かどうかについてが重要でしょう。
このほか、アドソンテスト、ライトテスト、エデンテスト、モーレーテスト、ルーステストといった神経学的な検査も重要と考えられます。
後遺障害等級認定のハードル
胸郭出口症候群の場合には、自賠責の段階で、12級13号の認定はかなり難しいのではないかと考えられます(弁護士の経験上)。
自賠責保険・共済の認定では、14級か非該当のケースが多いのではないでしょうか。
ただ、自賠責が14級と認定しても、裁判所はその判断に拘束されません。
訴訟により、12級相当と裁判所が認定して(12級程度を前提として)、判決を得られる可能性がありますので、まずは弁護士にご相談ください。