むち打ちの急性期治療
交通事故の直後(急性期)は、安静にしていることと、痛みどめの薬を服用するケースが多いのではないでしょうか。
頚椎をカラー(ポリネック)で固定することについては、疑問を呈する動きもあるので注意したほうが良いのではないかと考えられます。
受傷直後は、安静に
むち打ちや頚椎捻挫のケースでは、交通事故の直後に、牽引や電気をあてるなどの物理療法をとることは少ないのではないでしょうか。
むしろ、受傷直後は、しばらく安静にしていることをすすめられるケースが多いと思われます。
ただし、頚椎のカラー固定については、以下で説明するように、若干注意されたほうが良いのではないでしょうか。
首をカラー(ポリネック)固定することについて
むち打ちになった人が、首をカラーで固定しているシーンをテレビで見たことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、安静というのは、カラーをつけるという意味ではありません。
むち打ちというと、カラー固定というイメージがあるのかもしれませんが、これには注意が必要です。
文献(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』111頁)では、以下のような記載があります。
「科学的に否定されている治療法は、長期の頚椎カラー」
「特に受傷後72時間以上の頚椎カラーの使用は、むち打ち損傷を長引かせることとなるという報告がある」
「頚椎ポリネックなどの固定は、軽症の患者には不要で、四肢に強い神経症状が発生しているか、頚椎の靭帯組織に障害があると診断された時や疼痛のために頸部の保持ができない場合にのみ処方すべき」
「ポリネックを処方する場合もおおよそ7日以内に制限したほうが望ましく」
とされています。
このように、首(頚椎)のカラー固定は、急性期の治療法として、非常にイメージしやすいのですが、疑問を呈する動きもあります(このように否定される理由としては、首の筋肉が弱まったり、関節が拘縮するなどのデメリットが発生するおそれがあるからです)。
カラー固定する際も、医師と相談の上、適切な期間にとどめておいたほうが良いのではないでしょうか。
痛みどめの薬について(薬物療法)
交通事故の直後は、首などに痛みがある場合もあるでしょう。
このような場合には、消炎鎮痛剤(NSAIDs)を処方されることが多いのではないでしょうか。
また、消炎鎮痛剤の副作用を軽減させるため、プロドラッグや腸溶性製剤などが処方されることもあるでしょう。薬の選択は医師がしていくでしょうから、医師の質問にきちんと答えて、適切な治療薬を処方してもらうと良いでしょう。
リハビリについて
交通事故の直後(急性期)は、このように、安静や薬物療法が中心となります。
しかしながら、ここで注意が必要なのが、医者のところにいっても、薬を処方されるだけだからといって、接骨院や整骨院に通ってしまうことです。
接骨院や整骨院での施術により、症状が緩和される例もあるでしょうが、接骨院や整骨院への通院には損害賠償の観点からリスクがありますので、注意が必要です。
治療法は医師によって様々ですが、急性期を終えたら、牽引や電気をあてるなどの理学療法をとって、リハビリをしていく医師が多いのではないでしょうか。
医者の所にいっても、薬を処方されるだけだからと決めつけず、医師に治療計画についてまずは質問すると良いでしょう。