障害が残った部位に応じた後遺障害
外傷性てんかん(交通事故に伴う後遺障害の解説)
1.「てんかん」とは
てんかんとは、反復するてんかん発作を主症状とする慢性の脳障害のことです。
てんかん発作とは、大脳のある部分の神経細胞が発作性に異常に過剰な活動を起こし、これがある程度広範な領域の神経細胞をまきこんで、一斉に興奮状態に入った場合に生ずる運動障害、自律神経または精神などの機能の一過性の興奮状態のことです。
2.認定されうる後遺障害等級
外傷性てんかんは、発作のタイプや発作の頻度に応じて、等級認定されることとなります。
【注意】
1か月に2回以上の発作がある場合は、通常、脳挫傷があり、高次脳機能障害を伴っています。そのため、高次脳機能障害で3級以上が認定される可能性があります(高次脳機能障害の解説ページもご覧ください)。
5級2号:1か月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」(※1)または「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」(※2)である場合
※1:意識消失が起こり、その後ただちに四肢等が強くつっぱる強直性のけいれんが続き、次第に短時間の収縮と弛緩を繰り返す、間代性のけいれんに移行するケースや、意識はあるものの、筋緊張が消失して倒れてしまう脱力発作などがあります。
※2:意識の混濁があらわれ、うろうろ歩き回るなど目的を書く行動が自動的に出現し、発作中は周囲の状況に正しく反応できないものなどがあります。
7級4号:「意識障害の有無を問わず転倒する発作」または「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」が数か月に1回以上ある場合。または、これら以外の発作が1か月に1回以上ある場合。
9級10号:数か月に1回以上発作があるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの
※9級10号の発作には、「意識障害の有無を問わず転倒する発作」または「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」は含まれません。このような発作が数か月に1回以上ある場合には、上位の等級である7級4号が認定されるためです。
12級13号:発作の発言はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波が認められる場合
3.てんかんの診断
てんかんは、専門外の医師による誤診がなされる確率が高い傷病といわれています。
そのため、まずは、専門の医師による診断(てんかんの分類まで診断される必要がある)を受けることも考慮すべきです。
てんかんの診断にあたっては、発作の型の特定や脳波検査が重要となります。MRIやCT等の画像診断は発作の原因を判断するために有用です。
4.てんかんの診断に有用な検査
(1)脳波検査
まずは、脳波検査が有用といえます。
脳波を記録して、てんかん性放電や非突発性の異常所見がないか確認します。
もっとも、脳波が正常だからといって、「てんかん」には該当しない、とはいえないので注意が必要です。
(2)画像検査
先述したように、MRIやCT等はてんかん発作の原因を判断するために有効です。
これにより、脳の損傷等が明らかになる可能性があります。