交通事故損害賠償の知識

  1. 交通事故の弁護士相談「アウル東京法律事務所」
  2. 交通事故 損害賠償の知識
  3. 障害が残った部位に応じた後遺障害
  4. 高次脳機能障害(交通事故に伴う後遺障害の解説)

障害が残った部位に応じた後遺障害

高次脳機能障害(交通事故に伴う後遺障害の解説)


1.認定されうる後遺障害等級


1級1号(別表1):神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
(補足:身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要するもの)

2級1号(別表1):神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
(補足:著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体的動作には、排せつ、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの)

3級3号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
(補足:自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、傷害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの)

5級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、とくに軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(補足:単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの)

7級4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することができないもの
(補足:一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの)

9級10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
(補足:一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続能力などに問題があるもの)

12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号:局部に神経症状を残すもの

※後遺障害認定された場合でも、正当な金額の示談(損害賠償)の提示がされているかにご注意ください。
 認定された等級に応じた、後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)の解説ページもご覧ください。

2.高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、認知、行為(の計画と正しい手順での遂行)、記憶、判断、言語、注意の持続などが障害された状態をいいます。
具体的には、記憶力や注意力、学習能力が低下したり、性格が変わって怒りっぽくなったり、というような多彩な症状があわわれることがあります。

3.高次脳機能障害の等級判断

具体的に、どのような場合に、何級に該当するかについて、以下、解説していきます。

(1)1級1号(別表1)に該当するケース

以下のいずれかに該当する場合。

(a)重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの

(b)高次脳機能障害による高度の認知症や情意の後輩があるため、常時監視を要するもの

(2)2級1号(別表1)に該当するケース

以下のいずれかに該当する場合。

(a)重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの

(b)高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの

©重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの

(3)後遺障害等級3級~14級認定をする際の4能力

高次脳機能障害のうち、3級~14級については、以下の4つの能力をどれだけ失ったかによって判断されます。
その能力とは、以下のとおりです。

・意思疎通能力

・問題解決能力

・作業負荷に対する持続・持久力

・社会行動能力

(4)3級3号に該当するケース

1つ以上の能力を全部喪失した場合。

または、2つ以上の能力の大部分が失われているもの

(5)5級2号に該当するケース

1つ以上の能力の大部分が失われているもの。

または、2つ以上の能力の半分程度が失われているもの。

(6)7級4号に該当するケース

1つ以上の能力の半分程度が失われているもの。

2つ以上の能力の相当程度が失われているもの。

(7)9級10号に該当するケース

1つ以上の能力の相当程度が失われているもの。

(8)12級13号に該当するケース

1つ以上の能力が多少失われているもの

(9)14級9号に該当するケース

MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるもの


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