障害が残った部位に応じた後遺障害
視野障害(交通事故に伴う後遺障害の解説)
1.認定されうる等級
9級3号:両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
13級2号:一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
※9級の後遺障害慰謝料は690万円、13級の後遺障害慰謝料は180万円です(いずれも赤い本基準)。
これより、低い慰謝料を提示された場合には、注意が必要です。
くわしくは、後遺障害慰謝料の解説ページをごらんください。
2.視野とはなにか
視野とは、眼前の1点を見つめたときに、同時に見える外界の広さをいいます。
3.視野障害の測定方法
視野障害は、ゴールドマン型視野計という器具を用いて測定します。
「半盲症」、「視野狭窄」、「視野変状」とは、後遺障害の等級認定上、このゴールドマン型視野計を用いて測定した、V/4指標という角度の合計が、60%以下になる場合を意味します。
日本人の視野の平均値は、以下の通りになります。
方向 視野(V/4)
上 60(55-65)
上外 75(70-80)
外 95(90-100)
外下 80(75-85)
下 70(65-75)
下内 60(50-70)
内 60(50-70)
内上 60(50-70)
これらの角度の合計は、560度となります。
したがって、ゴールドマン型視野計で測定した視野が、この60%である336度以下になっているかが、後遺障害の等級認定上のポイントの一つになるでしょう。
3.半盲症とは
半盲症とは、注視点(どこを見ているかというポイントです)を境界に、両側の視野の右半分または左半分が欠損する症状をいいます。
半盲症は、視神経線維が、視神経交叉(視神経は、半分交叉しますので、この交叉する部分を言います)またはそれより後方で損傷を受けると、生じることがあるとされています。
ちなみに、両目とも左方向が欠損するなど、同じ方向が欠損するタイプは、同名半盲(同側半盲)と呼ばれます。方向に応じて、右側半盲または左側半盲とも呼ばれます。
左目は右方向の視野が欠損し、右目は左方向の視野が欠損するなど、欠損する方向が目によって違うのは、異名半盲と呼ばれます。方向に応じて、両耳側性半盲または両鼻側性半盲とも呼ばれます。
4.視野狭窄とは
視野狭窄とは、視野周辺の狭窄を意味します。
これには、同心性狭窄と、不規則狭窄とがあります。
同心性狭窄は、中心部分ははっきり見えるものの、周辺部分が見えにくくなるので、視野全体が狭くなる症状です。
両手でわっかを作って、それを目にあててみると、わかりやすいでしょう。
高度の同心性狭窄になると、周囲の状況がわからなくなるので、歩くことも困難になったりするようです。
不規則狭窄とは、視野の一部(上とか内側など)が狭くなる症状です。
5.視野変状とは
視野変状とは、一般的に、半盲症、視野狭窄、視野欠損及び暗点が含まれます。
半盲症と視野狭窄は、上記で説明したように、それぞれ別に認定されますので、後遺障害認定上は、視野欠損と暗点を指すことになります。
ちなみに、暗点には、生理的視野欠損、いわゆる盲点は含みません。
暗点は、島状にあらわれることがあります。