まとめると
・CTやMRI等の検査で精神・神経障害が医学的に証明することはできなくても、14級として認定されることはあり得る
・その場合には、受傷時の状態、症状の一貫性、治療の経過などが重要となり得る
今回の記事のソース
今回の記事は、東京地判平成15年1月28日・交通民集36巻1号152頁をもとにした記事となります。
なお、この裁判例は、交通事故の後遺障害認定におけるサーモグラフィーの有効性に関する記事でもふれましたが、今回は、CTやMRI等の検査では、神経障害が医学的に証明されないと判断されたものの、14級として認定された点に着目した記事となります。
自賠責は非該当と判断
本件の反訴原告となった方は、交通事故のため頚椎捻挫(外傷性頸部症候群)等と診断され、その後、病院へと通院しましたが、左上肢のしびれや左手の握力低下などの後遺症が残りました。
これについて、自賠責の等級認定の判断では非該当とされました(異議申立てをしたものの、やはり非該当となってしまった)。
裁判所の判断
これに対し、裁判所は後遺障害等級は14級に該当すると判断しました。
この判断枠組みは以下の通りです。
「受傷時の状態や治療の経過などから、その訴えが医学上説明のつくものであり、疼痛などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定される場合」には、14級として認定できるというものです。
そして、具体的な判断要素としては、以下のものをあげています。
・自覚症状の一貫性
・後遺障害診断書があること
・受傷時の状態
・治療の経過等
交通事故の被害者が気を付けることができるとすると、症状の一貫性と治療経過でしょう。
おかしいなと思ったら、すぐに医師に相談すること、自分の判断で治療をやめたりせず、きちんと医師の指示に従って通院することが後遺障害の認定に当たっても重要な要素となり得るでしょう。