まとめると
・交通事故でも要件さえみたせば労災を利用可能
・労災が利用できるのに、健康保険を使って治療を受けてしまった場合でも、労災に切替えができる
・療養給付の時効は、原則として、2年となっている。
・健康保険から労災保険へ切り替える場合の時効は、健康保険への返還金額が確定した日から2年となると考えられている。
・交通事故の場合でも、労災保険へ切り替えるべきか迷ったら、弁護士への相談がおすすめ
交通事故で健康保険を利用した場合でも、労災保険へ切替可能
交通事故の被害にあった場合には、自由診療でないと治療を受けられない、というわけではありません。
(時折、交通事故では保険診療はできません、とおっしゃられる医師もいらっしゃいますが、そんなことはありません)
皆さんもご存じかと思いますが、健康保険を使って治療を受けた場合には、3割程度の自己負担(年齢等によります)が生じますが、労災保険の場合には、自己負担がないのが一般的です(交通事故の被害の場合)。
ちなみに、健康保険を使って治療を受けるか、労災保険を利用するかは、利用者の自由意思にゆだねられているわけではありません。
労災を利用できる場合は、健康保険は利用できません。
交通事故で、誤って健康保険を利用してしまった場合には、労災へ切り替えることが可能です。
労災の療養給付には2年の時効がある
ただ、労災保険の受給権にも、時間制限、すなわち時効があります。
療養給付については、2年間とされています。
そして、この時効の起算日は、療養に要する費用の支出が具体的に確定した日の翌日、つまりは、治療費等を支出した都度、時効が進行することとなります。
健康保険から労災保険へ切り替える場合の時効の起算日
最初から、労災保険を利用できることが分かっていた場合には、このような時効の問題はあまり生じないでしょう。
ただ、労災保険を利用できることを知らずに、健康保険を利用していた場合には、気づいたら最初の治療日から2年以上経過していた、なんて事態は稀ではありません。
健康保険から労災保険へ切り替える場合には、健康保険に対して清算の手続きを行うこととなりますが、手続をした時から、2年分だけしか清算してもらえないのでしょうか。
この点については、消滅時効の起算日は、病院の窓口で健康保険の一部負担金を支払った日ではなく、労災保険扱いに切り替えるために健康保険への返還金額が確定した日となる、と考えられています。
労災保険への切替えについて迷ったら、弁護士に相談を
労災保険へ切り替えるメリットについては種々考えられます。
労災扱いにすることによるメリットについて知りたい、というような場合には、弁護士のような専門家に相談されることをお勧めします。