【ご質問】
針筋電図検査は、後遺障害の等級認定にあたって、有効ですか
【ご回答】
むち打ちや頚椎捻挫のため、片方の腕にしびれが生じている場合、針筋電図検査を行うことにより、異常が確認できることがあります。
針筋電図検査を実施した結果、異常が確認された場合には、後遺障害の等級認定にあたって、重要な資料となりえると考えられます。
12級13号の等級認定をねらっていく場合にも、有用な資料として活用できるのではないかと考えられます。
針筋電図検査とは
針筋電図検査とは、文字通り、被検査者の筋肉に針を刺して、筋肉の電位を観測する検査方法です。
針筋電図検査によって何がわかるか
大雑把に解説すると、筋力が低下しているか、低下しているならその原因が筋肉そのものの病気などによるものなのか、神経疾患が原因なのかがわかることがあります。
交通事故のため、むち打ちや頚椎捻挫になると、頚椎椎間板ヘルニアなどになり、末梢神経障害が起こることがあります。
すると、神経障害が起こっている部位に対応する筋力が低下することがあります。
もっとも、筋力低下は、なにも神経障害だけが原因で起こるものではありません。
筋肉の病気などが原因で起こることもありますが、針筋電図検査では、その原因が神経が原因(神経原性・ニューロパチー)なのか、筋肉そのものが原因(筋原性・ミオパチー)なのかを鑑別することが可能と考えられます。
針筋電図検査はMRI検査結果と組み合わさることで強力な資料になり得る
針筋電図検査は、上述のように、その波形を観察することによって、神経疾患が原因なのか、筋肉の病気なのかがわかると考えられます。
しかも、筋肉の電位を自分の意思でコントロールできる人はいないでしょうから、検査結果は客観的なものになります。
そのため、MRI検査により、頚椎の椎間板ヘルニアが画像上確認され、しかも、筋電図検査の結果、神経原性の異常所見が認められるとなると、神経症状が残存していることを証明する、非常に有力な証拠となりうるでしょう。
MRI検査とあわさることにより、「頑固な神経症状」(12級13号)として、後遺障害の等級認定がされる可能性もでてくるでしょう(もちろんケースバイケースですが)。
なお、後遺障害慰謝料だけを比較しても、14級では110万円のものが、12級なら290万円(赤い本基準)になりますので、後に説明するようなデメリットを踏まえても、検査する価値がありうるでしょう。
針筋電図検査を実施するデメリット
針筋電図検査は、上述のように、非常に有力な資料になりえますが、もちろん以下のようなデメリットもありますので、メリットデメリットを踏まえ、実施するか否かを判断すると良いでしょう。
・針筋電図検査を行ったからといって、異常が出るとは限らない
・検査をするには費用がかかる
・針を筋肉に刺すので痛い。また、検査にある程度時間もかかる