示談をする前に注意すべき3つのポイント

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  2. 示談をする前に注意すべき3つのポイント

このページでは、示談交渉をする際に問題となりやすい(したがって、法的知識をもって対応したり、弁護士が介入することで、増額されることが多い)項目について解説しています。しかしながら、実際にどの項目がいくら伸びるか、示談の進め方検討するに当たってどういう点に注意すべきかはケースバイケースですので、この解説は参考程度にされて、詳しくは専門家にご相談ください。なお、アウル東京法律事務所では、交通事故の無料法律相談をお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。弁護士が、ご相談者様のケースに沿ったアドバイスをいたします。

1.傷害慰謝料(入通院慰謝料)

任意保険基準

保険会社が示談交渉をする際、『任意保険基準』という言葉が使われていることがあります。『任意保険基準』というからには、これが妥当な金額なんだろう、これ以上金額は増えないんだろう、と思われる方も多いでしょう。しかし、一般的にそれは間違いです。『任意保険基準』というのは、あくまでも、その保険会社が設けている基準に過ぎません。ただの内部基準に過ぎませんので、詳細は不明です。被害者の方も、裁判所も、このよくわからない任意保険基準に拘束されることはありません。また、任意保険基準で計算された慰謝料は、裁判基準と比べ、低く計算される場合が多いように思われます。弁護士にお任せいただくことにより、当初、提示された慰謝料よりも増額されることが多いです。任意保険基準という言葉を見たら、それに納得するのではなく、増額可能性があるので、弁護士への相談を検討されてはいかがでしょうか。

1日4,200円

保険会社が傷害慰謝料(入通院慰謝料)の計算根拠を提示する際に、
1日4,200円×治療期間
1日4,200円×実通院日数×2

という計算式を用いてくることがあります。提示された被害者のほうとしては、なぜ4,200円なのか疑問に思いつつ、実通院日数が2倍されているので、お得感を感じてしまうこともあるでしょう。

でも、これは『自賠責保険』の慰謝料計算基準です。自動車を運転する人であれば、強制保険である自賠責保険と任意保険の2種類に加入されている方が多いでしょう。自賠責保険と任意保険は、いずれも主に加害者が負う損害賠償責任を補填するための保険ですが、2つも加入するのにはちゃんとした理由があります。それは、自賠責保険には上限があり、法律上の損害賠償責任をまかないきれないことが多いからです。示談交渉の際に、傷害慰謝料が1日4,200円とされていたら、自賠責基準で計算されているおそれがありますので、弁護士への相談を検討されてはいかがでしょうか。

裁判基準

弁護士基準とも呼ばれているものです。『自賠責基準』や『任意保険基準』よりも、高額になることが多いので、アウル東京法律事務所では、一般的にこの基準を用いて、保険会社と示談交渉をします。詳細はこちらをご覧ください。示談交渉をご依頼いただく際の弁護士費用はこちらをご参照ください。

2.休業損害

主婦の休業損害

休業損害の中でも、給与所得者の休業損害は比較的適切に支払われているように思われます。これに対して、主婦(家事従事者)の休業損害はかなり安く見積もられているか、もしくは、休業損害0円(なし)として計算している場合もあるようです。主婦も家事という立派な労働をしています。交通事故でケガをすると、このような家事労働に支障が生じ、結果として、誰かに家事を代替してもらわなければいけなくなるでしょう。家事を家政婦さんなどの第三者に依頼すれば、当然、お金を支払わなくてはいけなくなるでしょう。また、家事労働では、実際に賃金を得ることはできませんが、それは単に夫婦などの特別な関係にあるからに過ぎません。そこで、判例(最判昭和50年7月8日・交民8・4・905)は主婦の休業損害を認めています。

1日5,700円(主婦の休業損害の金額)

保険会社が主婦の休業損害を支払うといってくる場合でも、その金額に注意が必要です。保険会社は1日5,700円という数字をだしてくることが多いように思われます。この5,700円というのは、『自賠責基準』の数字です。弁護士が示談交渉をする際に一般的に用いる裁判基準(赤い本)では、賃金センサスの第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均賃金を基礎として、受傷のため家事労働に従事できなかった期間の休業損害が認められる、とされています。たとえば、平成24年の賃金センサスでは、上記平均賃金は、354万7200円とされています。これを365で割ると、1日あたりの休業損害の基礎額は9,719円(小数点以下切上げ)となります。このように、保険会社が仮に、主婦の休業損害を支払うといっている場合でも、弁護士が介入して示談交渉をすることにより増額される可能性があります。

兼業主婦の休業損害

兼業主婦の方は、現実に収入を得ています。そうすると、アルバイトやパートタイムなどの現実の収入を基に、休業損害を算出されることがあります。しかしながら、兼業主婦である以上、主婦として家事労働もしています。このような場合、現実の収入と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として休業損害を算出することになります。現実の収入金額や休業日数にもよりますが、主婦としての休業損害で計算したほうが高くなることもありますので注意が必要です。

3.後遺障害部分

等級に応じた金額

保険会社が後遺障害部分に関して示談金額を提示してくる場合、後遺障害慰謝料と逸失利益を合わせて、以下の金額を提示してくることがあります。この金額が提示されたら要注意です。

の表は、自賠責保険の支払限度額です。交通事故の損害賠償保険の仕組みは、まず第一に自賠責保険が支払いをし、自賠責保険でまかなえなかった部分を任意保険が支払うというものになっています。任意保険の会社は、このような自賠責保険の基準をもって、示談の提案をしてくることがあります。しかしながら、自賠責の限度額は裁判基準と比べると、低いことが多いです。

記表は、後遺障害慰謝料と逸失利益をあわせた金額となります。後遺障害の等級が14級と認定されたと仮定すると、自賠責限度額は75万円ですが、弁護士が一般的に示談交渉に用いる裁判基準では、後遺障害慰謝料だけで110万円(赤い本基準)となります。後遺障害慰謝料だけでも、自賠責の限度額を超えるのが一般的ですが、これに加えて逸失利益を請求することも考えられます。なお、後遺障害慰謝料については、こちらのページに解説があります。

加害者の加入している保険会社から、自賠責基準で示談金額を提示されたら、弁護士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

認定された後遺障害の等級 自賠責の限度額
1級 3000万円
2級 2590万円
3級 2219万円
4級 1889万円
5級 1574万円
6級 1296万円
7級 1051万円
8級 819万円
9級 616万円
10級 461万円
11級 331万円
12級 224万円
13級 139万円
14級 75万円

※介護を要する後遺障害の1級は4000万円、2級は3000万円


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