【ご質問】
むち打ちや頚椎捻挫になった場合、MRI撮影までする必要はありますか?
【ご回答】
治療のためはもちろん、むち打ちや頚椎捻挫の後遺障害の等級認定を行う上で、MRI撮影は非常に重要ではないかと考えられます。
MRIにより、痛みやしびれの原因が推測できる可能性があります(たとえば、頚椎椎間板ヘルニア)。
MRIとは
MRIとは、磁気共鳴撮影法という画像検査方法で、磁気と電波を用いて、人体の内部を撮影します。
MRIは何に有効か
MRIは、脊髄、靭帯、椎間板の抽出に有効です。
むち打ちや頚椎捻挫となった方のうち、比較的多くの方に、頚椎椎間板ヘルニアや前十靭帯損傷が認められるとの指摘や、むち打ちによって、椎間板の変性が進行するとの指摘もあります(栗宇一樹・古笛恵子編『交通事故におけるむち打ち損傷問題 第二版』56頁)。
また、椎間板ヘルニア等は、単純レントゲン撮影では一般的に映りませんので、レントゲンではわからなかったものが、MRIではじめてわかる、というものもあります。
これは、治療のためにも有効でしょう。
なぜなら、何が原因で、痛みやしびれが生じているかが分からない状態で治療するよりも、痛みやしびれの原因が頚椎椎間板ヘルニアにあるのではないか、という推測の下、治療を行うほうが、有効な治療ができるでしょう。
後遺障害の等級認定を狙う上でも重要
また、後遺障害の等級認定をねらう上でも、重要と考えられます。
むち打ちや頚椎捻挫で、後遺障害の等級認定を狙う場合、12級か14級をねらうのが一般的です。
12級認定のためには医学的に証明可能なことが、14級認定のためには医学的に説明可能であることが必要です。
MRI画像で、頚椎椎間板ヘルニアになっているということがわかれば、医学的な証明ないし説明をするにあたっても、有用な資料となるといえるでしょう。
MRIは万能ではないので注意
むち打ちや頚椎捻挫で、正当な後遺障害認定を受けるためには、MRI検査は重要な検査と考えられます。
もっとも、MRIは万能ではありません。
そもそも、むち打ちや頚椎捻挫で痛みやしびれが生じている方が、全員、頚椎椎間板ヘルニア等になっているわけではありませんので、痛みやしびれがあっても、MRIでは原因がわからない、ということもあります。
また、仮に、頚椎椎間板ヘルニアになっていることがわかっても、その原因が交通事故によるものではなく、年齢による変性によるものである可能性があります。
そのため、MRI検査の結果、異常が見つかっても、それだけで後遺障害として等級認定されるわけではありませんので、注意が必要です。
ただ、繰り返しにはなりますが、MRIは万能ではなくとも、治療や後遺障害の等級認定にあたって、非常に有用な資料になりえます。
費用の問題もあるので、絶対に受けなさいとまでは言えませんが、むち打ちになられた方は、一度、MRI検査を受けることをおすすめします。