【ご質問】
交通事故のむち打ちのため、難聴や耳鳴りが生じることはありますか?
【ご回答】
あまり多くはありませんが、難聴や耳鳴りといった耳の症状が出る方もいます。
症状固定後も、難聴や耳鳴りといった症状が残存している場合には、後遺障害として認定される可能性がありますので、注意してください。
データから見る、むち打ちによる難聴・耳鳴り
文献(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』43頁)によると、
「耳鳴りはむち打ち損傷の7%で発症すると報告され、ほとんどの症例が難聴を伴」うとされています。
首を痛めたのに、耳に症状が発生することについて疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、データから見ても、おかしなこととは言えません。
ただし、
「発症時期として数日以内は27%と少なく、2~4週間以内に発症したものが55%であったと報告されている」
とのデータにもあるように、事故からしばらく経ってから難聴や耳鳴りが起こることがあります。
そのため、交通事故と関係がないのではないか、と見逃してしまうおそれがありますので、注意が必要です。
症状を感じたら、すぐに医師に相談すべきです。
耳鳴りや難聴の原因
原因については、なんとも難しいところです。
交通事故から症状が発生するまで期間が空いていることからすると、聴覚路の損傷とは考え難いです(その場合には、すぐに症状が出るでしょう)。
内耳の影響や頚部の軟部組織が緊張することにより異常が起こっているのではないかと考えられます。
耳鳴りや難聴が症状固定後も残存している場合には、後遺障害の申請を
耳鳴りや難聴は、医師による診断を受ければ、すぐに改善するというものではありません。
先の文献によれば、「多くの場合、軽症であるが改善に2か月以上かかったとされている」との指摘もあります。
そのため、焦って後遺障害申請をせずに、まずは、治療を受けるべきです。
症状固定後も、耳鳴りや難聴が残存している場合には、後遺障害の申請をすべきでしょう。
耳鳴りについては、ピッチマッチ検査、ラウドネスバランス検査を、等級認定のためには難聴を伴うことが必要ですのでオージオグラムという検査を受けるべきでしょう。