【ご質問】
むち打ちによって、めまいが出ることはありますか?
【ご回答】
交通事故によるむち打ちのため、めまいが出ることは十分考えられる症状です。
ただ、内耳の損傷や脳損傷の可能性もあり得るので、頸性めまいだと自分で断定はせず、必ず医師に相談するようにされてください。
また、めまいの立証方法としては、重心動揺計や電気眼振図などが有効ではないかと考えられます。
データから見る、むち打ちによるめまい
文献(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』39頁)によると、むち打ち患者のめまいについて、
「Radnovらは23%で出現していると報告している」
とされています。
このように、交通事故でむち打ちになった人がめまいを発症していることは決してまれなこととは言えません。
めまいの原因について
むち打ちで、なぜめまいが生じるのでしょうか。
「画像でめまいの原因をとらえることは難しい」(遠藤健司『むち打ち損傷ハンドブック第2版』41頁)とされていますし、めまいの原因として多種多様なものが考えられます。
MTBI、内耳の損傷、頸性めまいなどがあります。
頸性めまいについて
めまいは、必ずしも脳や内耳の損傷によってのみ起こるものではありません。
むち打ちによって痛めた頸部(くび)が原因となっている場合もあり得ます。
その原因としては、以下のようなものが考えられます。
(1)椎骨脳底動脈循環不全:椎骨動脈が圧迫されて、めまいが起こる
(2)C1~C3の神経根やせき髄の障害で起こるめまい
(3)バレー・リュー症候群の一症状(交感神経の異常)
(4)頸動脈洞にある圧受容器反射の亢進による、血圧の低下
めまいの証明方法
めまいは自覚症状です。
その人にめまいが起こっているのかは、外から見ただけではわかりません(たとえば、多少ふらついていたとしても、それがめまいによるものなのか、たまたまなのかはわかりません)。
そこで、後遺障害の認定等の際には、めまいが生じていることを客観的な検査手法で立証していくことも重要です。